現在の校訓は、創立125周年を記念し、平成10年11月14日に制定されました


1 校訓の意義
校訓は、教育目標を日常の教育活動に生かすために、端的、かつ、標語的に表現したものでありますが、校訓の一般的なタイプを大別すると次の二つの型に分けられます。

一つ目は、伝統的な校訓の型で、建学の精神を学校の伝統として生き残す場合で、私立学校等では実践目標あるいは合い言葉等で創設者の理念を表している場合のものです。

二つ目は、一般的な校訓の型で、学校教育目標、あるいは、生活指導等の目標として設定している場合です。
2 本校の校訓の変遷
本校における過去の校訓はどのようなものであったかを、残されている関係資料から見ますと、次のような校訓があります。

[明治時代の校訓]
一 謹テ教育ニ関スル勅語ノ御趣旨ヲ服膺スベシ
二 誠実ヲ主トシ師長ヲ敬フベシ
三 身体ヲ鍛ヘ士気ヲ壮ニスベシ
四 規律ヲ守リ学業ヲ励ムベシ
五 謹倹ヲ尚ビ自治ヲ重ズベシ
 (明治42年度の尋常小学校通告簿から)

[大正〜昭和初期の校訓]
一 自分でやれ
二 真面目にやれ
三 何処までもやれ
 (三本木小学校学校内細則から)

[昭和の戦時中の校訓]
一 人のお世話にならぬよう
二 人のお世話をするように
三 そうして雄々しく進みませう
 (昭和16年度の国民学校初等科通信簿から)

残念ながら戦後になってからの校訓は見ることができませんでしたが、本校の過去の校訓は時代の要請や社会の流れにあって内容を異にしているものの、学校の教育目標、あるいは生活指導等の目標として設定されていることか゜伺えます。
3 校訓の内容
本校の学校経営を進めてまいりました歴代の校長先生方の教育観・経営観は、校歌の精神を体した教育を進めてきました。また校訓の内容を校歌に求めることによって教育目標や努力目標、学年や学級目標、その他の道徳・特別活動・生徒指導等の目標と関連や整合性を図れるものになります。

◇「自立

校歌の一番の歌詞を総合的に捉えると「自立」と解釈できます。特に、一番の一節に「正しく育ち栄えては」、また、「国の柱となりぬべし」とありますが、この歌詞は自立の大切さを強調している内容です。
自立とは、他への従属を離れて一人立ちすることであり、小学校教育に求められている「自立の基礎を培う」の内容を十分満たしている内容です。

◇「感謝

二番の歌詞は、総括的に「感謝」と捉えることができます。その一節に「恩をばいかで忘るべき」がありますが、これは感謝にほかならない内容です。
感謝とは、ありがたいと感じその気持ちを表すことです。親・兄弟などの家族や隣人に対する感謝はもとより、動物・植物など自分の身近の生あるものや自分が日常的に使用しているものも含めての感謝の気持ちをもつことです。
特に、近年の教育で心の教育の重要性が強調されており、「思いやり」等に関する指導が重視され、あいさつ運動をはじめとする実践活動が盛んに行われております。これらの内容は全て感謝の心に通じるものです。
いつでも、だれでもが感謝の気持ちをもって、その気持ちを行動に表すことのできる教育が小学校の時期にこそ大切だと考えます。

◇「進取

三番目の歌詞は、総括的に「進取」と捉えることができます。進取とは進んでことをなすこと、あるいは、進んで物事に取り組んでいくことの意味があります。歌詞の末尾の文節に「学びの道を進まばや」とあり、これは「自学」とも捉えられますが、「自学」のニュアンスよりも「進取」の方が意味の広がりがあり、広義の内容が含まれてきます。
今や生涯学習社会の時代であり、今後の社会の変化はますます加速し、日進月歩のごとく進展することが予測されます。いかなる社会になろうとも、あるいは、いつ・いかなる環境に立たされようとも自主的に生きようとする「進取」の心がかれば乗り越えていけると考えます。
社会の変化の激流に流されたり、押しつぶされたりすることなく、しっかりと変化を見極め、判断し、行動できるために、小学校教育において「進取の心」を育むことが何にもまして大切なことだと考えます。
4 おわりに
以上のように、校訓を校歌の教えから設定してありますが、本校の校歌が歌われ続ける限り、本校訓は教育目標との関連で存在し続けるものでありましょうし、全教育活動に反映し得るものと考えます。
そして、校訓が本校に学ぶ子ども達にとって指針となり、みんなが力を合わせてこうした校風を築きあげようとする意識の結集源になることを願う次第です。
                                         (創立125周年記念誌より)

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